小田原城さんぽ 2021年07月09日号

小田原城さんぽ [212] 小田原城大日如来種子板碑

2021/07/30


=念仏講の流行を物語る板碑=

小田原城二ノ丸から二宮神社神域への入口に近く、本丸の南側斜面基部の位置に建てられている。地震後に土中から出現したものと思われ、他から城内に搬入されたらしく、碑面の刻字の激しい磨滅は、恐らく地面に長い年代に敷かれていた結果と思われる。上部の大日一尊種子以外は容易に読み切れないので、小田原の金石文 一、(小田原市郷土文化館、一九六八)によると次の銘文があるという。
右志者爲    結衆
毎月十五日
法界衆生平
等利益也    敬白
毎月十五日に講中が集って念仏している様子を記しているが、年代が入っていない。
しかしこのシリーズ206で述べたように、鎌倉時代末から南北朝期にかけて、念仏講は急に流行し、居神神社・青橋付近・宝金剛寺・小田原城米曲輪などに同じ石碑がある。右の結衆というのは、念仏講一同をさしている。
【写真】二ノ丸南曲輪板碑


(小田原の城と緑を考える会長 田代道彌)

-小田原城さんぽ, 2021年07月09日号