西さがみ・季節の花ノート 2022年02月04日号

西さがみ・季節の花ノート [No.45] フッキソウ -つげ科-

和名は富貴草の意味とされるが、なぜ富貴なのかよく解らない。強いて考えれば林中のやや暗い場所に、一面に林床を覆って繁茂し、常緑で冬も枯れないところが、富貴繁栄につながるのであろうか。
花は三-五月に咲くがあまり目立たない。それよりも冬に入って白色の硬い果が暗緑色の葉の中でよく目立つ。直径一・五㎝ほどの卵球形の果実である。
箱根では芦ノ湖畔の箱根神社神域に一面に繁茂している。他では強羅・仙石原・姥子などにも見かけるが、ただ強羅・仙石原などのそれは、ことによると人が植えたものが起源かも知れない。フッキソウは日陰の地被植物として、移植が容易でまたよく活着するので植木職が手軽に持ち回るからである。
ついでにその植えかたは地中に直立している茎を抜き、先端を輪状に丸くまとめ、その部分を腐食土の中に軽く植える。この程度でほとんど活着するであろう。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2022年02月04日号