西さがみ・季節の花ノート 2019年04月19日号

西さがみ・季節の花ノート [No.22] ヒゴスミレ -すみれ科-

2020/06/16

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写眞のように葉が細裂することで著るしい。淡紫紅色の花をつけるエイザンスミレの葉も細裂するが、その幅の細いことではヒゴスミレには及ばない。エイザンの葉を三裂といえば、こちらは五裂していて、日本のスミレ属では最も狭葉種である。
花は白色でエイザンより花弁が丸く幅広くそのため豊満に見える。またエイザンは落葉樹林の林床などやや暗い場所を好むが、こちらはむしろ明るい草地や写眞のように石垣の隙間などに出てくる。
和名は肥後すみれで本州から九州にかけて分布するが、本来の野生と認められるものは稀で、この付近では山梨県の三峠山や、県下では小仏峠に続く陣馬山・景信山などの自生地が知られている。
大陸では中国や朝鮮に分し、園芸的に花に芳香があるので「匂いすみれ」などの名で市販されてきた。西さがみの人家付近のヒゴスミレはこの子孫である。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2019年04月19日号