西さがみ・季節の花ノート 2023年02月03日号

西さがみ・季節の花ノート [No.56] ヒメツルソバ -たで科-

2023/02/07


人家の周辺の石垣や路傍に、一年中花をつけている。原産地は中国南部からヒマラヤ地方で、日本で各地にひろがったのは戦後のことである。
昭和三七年頃、私は印度のダージリンにある英国の種苗会社から、本種の種子を取り寄せたことがある。当時の種名はポリゴーヌム・カピターツムで、つまりイヌタデ(あかまんま)と同属と考えられていた。しかし古い種子だったらしく、その時は一粒も発芽しなかった。
後に中国の大理(たり)や峨眉山(がびさん)でその盛んな自生状態を見て感銘したことであった。やがて日本で種苗商が開花株を販売するなどして、西さがみでも時折眼にするようになった。
最初に大きな群落となったのは秦野市の西中学校の校庭だったが、今では到る処にひろまった。場所によっては二月頃寒気で葉が傷むが、海岸に近ければ一年中開花している。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2023年02月03日号