西さがみ・季節の花ノート 2018年10月12日号

西さがみ・季節の花ノート [No.11] オモダカ -おもだか科-

2020/06/09

Kisetsu_no_Hana_Note-011_omodaka
家紋に沢瀉文というのがあり、これはおもだかもんと読む。しかし『中国髙等植物図鑑第五冊』などが沢瀉としているのは、日本では北海道や東北地方にあるサジオモダカのことである。
それでは中国ではオモダカを何と呼ぶかというと「野茨菰」である。頭に野がついているのは野生のという意味があり、事実中国ではオモダカの塊茎が大形になるものを選別していて、これが古く日本にも舶来していた。現在食用にする「慈姑」がこれでつまりクワイである。野生品がオモダカ、人による改良品がクワイなのである。
さてオモダカは西さがみではそれほど多くはない。箱根では稀で早川流域でも下流付近に発見されるのみで、むしろ大井・中井・二宮・平塚など、酒匂川以東に多く見かける。白い花と鋭形の葉とが涼風を誘っていかにも季節の花だが、ただ稻田では除草の対象である。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2018年10月12日号