西さがみ・季節の花ノート 2019年05月17日号

西さがみ・季節の花ノート [No.23] ウラシマソウ -さといも科-

2020/06/16

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花の姿から面白がられる反面、どこがグロテスクで気味悪いなどと蔭口も聞かれる。しかし本来花鳥草木みな愛すべき自然界の一員であって、よく観察すればいづれも愛らしく、気味悪いのは無関心の代名詞のように思われる。この仲間のコンニャクは、事実、口に容れるではないか。
ウラシマソウは花の中から長い釣糸を出しているので、そこで浦島太郎伝説を連想してこの和名があるらしい。気味悪いよりよほど文学的である。属名をテンナンショウ属と呼び日本には三〇種近くが野生するが、天南星(てんなんしょう)と呼ばれる種類は中国に分布していて、私は雲南省の石林はじめ各地で見たが、これは釣糸を持たない種類である。
日本のテンナンショウ属には三〇種近くが含まれるが、その中でこのような釣糸があるのはウラシマソウだけである。ただし九州にあるヒメウラシマソウは短かい釣糸をもつ。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2019年05月17日号