西さがみ・季節の花ノート 2019年08月23日号

西さがみ・季節の花ノート [No.27] ツユクサ -つゆくさ科-

2020/06/16

季節の花ノートP-027_ツユクサ
西さがみでの方言はほたるぐさであった。いわゆる蛍狩りの風習では蛍篭にこのツユクサを数本入れ、それに充分に露を含ませてから蛍を入れた。蛍がこの露を吸うものと信じていたのであった。だから私などは標準和名のツユクサというのも、露にぬらして蛍篭に入れる草だからツユクサだと、信じて疑はないのである。
蛍も露草もその印象はいかにもはかないが、しかし草の性質は強健で我が家の庭では、除草に手を焼く雑草の一種になっている。花は花弁は六枚だが、そのうち二片のみが大形になって青紫色に染まっている。雄しべは前方に突出しているが一日花なので午後になると花の基部に捲き込み、その途中で雌しべに触れて授粉する。珍らしく自花受粉の花である。
古名はつきくさ(着草)で花汁を染色に用いたが、現在でも友禅染めの下絵は、この花汁で描かれている。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2019年08月23日号